知っておけば便利        「山京甲斐の風通信より」

Q&A    

語源喜びも‘ひとしお’
         
A:結婚式などで司会者が良く使う「お嬢様の晴れ着姿にご両親の喜びもひとしおでありましょう」
   このひとしおは何の事? 意味はひときわ、一層のことで漢字で書くと「一入」。この一入とは、
   染物を染液にひたす回数で、一入は染液に一回ひたすこと。二回ひたすと二入(ふたしお)
  何回もひたすことを八入(やしお)という。染液に一回ひたすごとに鮮やかになることから、一段と
  より一層の意味で使われている。藍染の甕覗(かめのぞき)は藍染のなかでも一番うすい色で
   「一入」染めとも呼ばれている。藍染は何度も藍甕に浸しては取り出し、繰り返し染めることで
  濃くなっていく 甕覗は十段階(48色)の最初の色で覗き色とも言われます。(vol.68)
Q:おひな様の男雛と女雛
         
         どちらを右に飾る?
A:最近の内裏だいりさまは、向かって左に男雛おびな右に女雛めびなが平均的です。
   しかし、昔はその逆でした。生活の作法や配置には陰陽が取り入れられ、上座
   下座でいえば、雛壇のほうから見て左側
(つまり向かって右側)が上席とされてました。
   しかし、明治になって国際習慣に従って、天皇皇后両陛下が写真を撮られるとき、
   従来と逆の向かって左を上座として天皇が立たれました。それから内裏様を飾るにも
   同じにしようと、昭和の初め、東京の雛人形卸組合が男雛を向かって左にすると
   決めたそうです。国際性が必要な場面では作法も変わることがあるということです。(vol.21)
Q:七夕 たなばたとは A:ご節供の中の一つ、棚機(たなはた)で織り機のこと。神の御衣を織る機を
   意味しているとも言われ日本では奈良朝より織女に裁縫が巧みになることを
   願ったもの、現代は織女のラブロマンスのほうが広く知られている。
   「織物」には様々な願いが込められています。子供が生まれたときに着る掛け
   着物は麻の柄が多く仕上げの飾りは麻の形を模したものにするのが慣例。
   麻の実は光と水さえあればまっすぐな芽を出し、成長が早く病害虫にも強く
   どこでも育つ、神道儀式にも欠かせぬ神聖な植物にあやかろうとするのは
   愛(こころ)のかたちである。 (vol.17)
Q:きもの用語から生まれた日本語 A:胸襟(きょうきん)を開く:胸の中を隠さず、すっかり打ち明けること。
   帯に短し襷(たすき)に長し:物事がどっちつかずで中途半端、役に立たないこと。
   しつけ:縫い目をきっちりと整えるためにしつけをかけるところから、礼儀作法を
   身につけさせること。
   歯に衣(きぬ)を着せぬ:相手に遠慮せずに、思っていることを包み隠さず言うこと。
   袖振り合うも他生(たしょう)の縁:知らない人と袖が触れ合うのも縁による。
   つまり些細なことでも縁があるということ。
   折り目正しい:折りたたんだ節目がきっちりしているところから、礼儀正しいこと。 
Q:へそくりの語源は麻を織ることから・・・ A:私のへそくりで買うことにするわ、主人には内緒よ!
  これこそピッタリ・・・ へそくりの語源は麻織物からきています。
  辞書で引くと綜麻(へそ)いう字が載っています。体のおへそとは
  縁もゆかりも無く「綜(へ)たる麻(そ)」すなわち紡いだ麻糸を意味
  します。そして紡いだ麻糸を木枠に巻き取ることを「繰(く)る」と
  いうことだそうです。へそくりは平安の昔から女性がするものだっ
  たようです。何よりへそくりは呉服に使ってこそ生きるというもの
  です。

Q:お茶は右、お菓子は左でおもてなし A:相手を思いやるカタチになったものが(所作)、それを伝える
  のが作法です。作法は堅苦しいものでも暗記して覚えるもの
  でもありません。人間関係を良好にし自分自身を楽にしてくれる
  もの。左の意は、お客様に粗相をさせないための心遣いです。
  お茶は器を持ち左手で受けますし、菓子は左手で皿を持って
  右手で食べます。だから「お菓子が左お茶が右」というのは理に
  叶っているのです。コーヒーとケーキであっても同じことが言え
  ます。

Q:着物は左前に着てはだめ!
 でも左側が上になるように着るでしょう。
 上と前は逆なの?それに洋服は右が上
 なのに着物はなぜ左を上にするのですか?
A:前という意味は、体のすぐ前と言うことです。右の生地を
  先に左側をあとから重ねることになり、上にくるわけです。
  これは「陰陽道」の考えからです。日月、左右、上下、紅白、前
  後、といった対語の場合、上の字が陽で下の字が陰という決め事
  があり、昔はこれを日常に配置していました。たとえば「上」が陽、
  「左」も陽ですから、着物を着るときにも左を上にするという考え方
  です。家の表札で言えば、陽イコール向かって右側、家の内から
  見れば左側に掲げることが多いでしょう。


きものと帯 山京
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